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ノーベル物理学賞を受賞した真鍋さんのコメントを読んで

2021年10月09日

こんにちは、低学年担当の福島です。

先日、愛媛県生まれの真鍋叔郎さんがノーベル物理学賞を受賞した速報が入りました。

気候変動分野のでノーベル物理学賞を受賞

真鍋さんは長年、気候変動の研究を行い、気候変動研究分野の基礎を作った方とも言われているそうです。現在では温暖化や異常気象など耳する機会が多いですが、早い段階から真鍋さんは現在の世界の状況を予測し警報をならしていました。

真鍋さんは、気候予測手法(「大気の流れ」と「海洋の循環」をあわせた気候モデルの手法)を世界で初めて確立したそうです。

なお、今回の物理学賞受賞が異例と言われている理由は、ノーベル物理学賞は「地球科学や天文学を対象にしない」と言われてきたからだそうです。

研究は楽しくしょうがない

真鍋さんはインタビューで「気候の研究が楽しくしょうがない」と笑顔で答えていたのが、とても印象的でした。

そして、若い研究者の方々へ向けて、「本当の研究の醍醐味は好奇心」「なぜこういうことが起こるのか?」「そういうことを研究していくの一番いいんじゃないかと。」おっしゃっています。

研究を長年継続しておられる理由は、とてもシンプル。でも、そのシンプルな思いこそが、重要なのだろうと感じました。研究はさせられるものではなく、研究せずにはいられないという思いが根底にあるのですね。

真鍋さんは現在90歳!。受け答えも、歩く姿も、若々しくて、生涯現役とはまさに真鍋さんのような方を指すのかもしれません。真鍋さんは、米国のプリンストン大学の上席研究員として今も研究を続けられており、研究したい、学びたいという思いがあれば、年齢なんて関係ないのだなと私は感じました。

考えさせられる日本から帰国しなかった理由

真鍋さんは米国での生活が長く、米国籍を取得しています。インタビューの中で、記者からどうして国籍を変更したのかという質問がありました。

真鍋さんは「日本に戻りたくない理由の一つは、周囲に同調して生きる能力がないからです」と答えました。

この回答を受けて、米国の記者たちからは笑いが起こっていました。

そして、さらに付け加えます。

「日本の人々は、いつもお互いのことを気にしている。調和を重んじる関係性を築くから」。

「日本の人々は、非常に調和を重んじる関係性を築きます。お互いが良い関係を維持するためにこれが重要です。他人を気にして、他人を邪魔するようなことは一切やりません」

「だから、日本人に質問をした時、『はい』または『いいえ』という答えが返ってきますよね。しかし、日本人が『はい』と言うとき、必ずしも『はい』を意味するわけではないのです。実は『いいえ』を意味している場合がある。なぜなら、他の人を傷つけたくないからです。とにかく、他人の気に障るようなことをしたくないのです」

逆に米国に関して、

「アメリカでは、他人の気持ちを気にする必要がありません。私も他人の気持ちを傷つけたくはありませんが、私は他の人のことを気にすることが得意ではない。アメリカでの暮らしは素晴らしいと思っています。おそらく、私のような研究者にとっては。好きな研究を何でもできるからです」

と述べました。

真鍋さんのコメントを聞いて

このコメントを聞いて、みなさんはどう感じたでしょうか?

私は周囲を気にして、調和を気にして、やらなかったこと、言わなかったことは思い当たるものが多すぎて、当たり前になっていることにはっとさせられました。

私は低学年の指導以外にIT会社で働いており、その会社は社員の半分が海外籍です。

彼ら、彼女らと働いていると、真鍋さんのコメントにあるようにアメリカ人の同僚は本当になんでも疑問や自分が感じていることを私に投げかけてきます。日本人である私からすると「その疑問はどこからくるの?」「どうしてそういう発想になるの?」「あ、そんな意見まで私に伝えてくるんだな。」と思うことが多く、時に答えに窮します。

小さなころから「なぜそう感じるのか?」「なぜそう考えるのか?」「どうしてこれをやらなければならないのか?」「ぼくはこう思う。あなたはどう思うの?」という問答を何千、何万回と繰り返した彼ら、彼女らの中にある「自分」という物事を考える姿勢は、日本人にとっては訓練して意識的に取り組んでいかないと身につくものではないかなと感じます。

何か自分の意見を言おうすると、他人が自分の発言はどう受け取るかをまず反射的に考えてしまう日本社会と、米国のように他人の気持ちを気にしなくていい社会のどちらがいいかということは決められません。

しかし、時に周囲を気にしすぎることで生きづらいと感じる人がいる日本社会は、今から大人っていく子どもたちにとって住みやすい社会なのだろうかと考えます。特に自由な発想や研究を追求したいという欲求が強い人にとっては、窮屈さを感じるかもしれません。

もし真鍋さんが米国籍を取得せずに、日本に帰国していたら、「気候の研究が楽しくしょうがない」と言うセリフが言えたかどうか考えてみると、やはり自由な意見や考えを活発にシェアし、周囲のことを考えずに生活することができた米国という環境があったからこその、真鍋さんの今があるのかなと感じました。

以上、真鍋さんのノーベル賞受賞の一報に際して考えたことを書いてみました。

 

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