2018年05月12日
シンガポール国立大学レポート第3回です。
第1回はこちら:シンガポール国立大学に行ってきました①
第2回はこちら:シンガポール国立大学に行ってきました②
シンガポール国立大学の学生の気質
理系が強い?
シンガポールの学生は、理系と文系が半々くらいの割合で学んでいるそうです。日本では文系:理系=7:3と言われていることを考えると、シンガポールは理系が強そうです。
しかし意外なことに、概して数学のレベルは日本の学生のほうが高いとのこと。これは調査をしたわけではなく、お話を聞いた准教授の方の感覚ですが…。でも、現場で教鞭を取られる方のお話なので、あながち間違いではないかと。
と言っても、その准教授が担当するのは文系領域。その中で必要な数学の授業で感じたことだそうです。ということは理系の学生はその限りではなく超優秀なのかな…?
国際的で積極的?
また、「最近の日本の大学生が海外に出ない傾向にある」と、いろいろなメディアで報じられています。では、シンガポールはどうなのでしょうか?
国際都市というイメージから、どんどん海外に出ていく学生が多いのかと思い込んでいました。
ところが実際は日本と同じ傾向で海外に出ていく人材は多くないそうです。准教授いわく「シンガポール大好き」な大学生が多いとのこと。
これには兵役や愛国主義的な教育が濃い密度で施されていることも関係あるのかもしれないとのことです。
世界中から人を集める工夫
世界から人材を集める工夫は随所に見られます。一例として1学期間の短期留学や各大学との交換留学制度が充実しているお話を伺いました。また卒業後、数年間シンガポールで働くのを条件に奨学金も支給される制度もあるとか。外国人の教職員専用のマンションも隣接して建てられています。
東京23区と同じくらいの面積、人口560万人という規模で世界と伍していくのですから、自国の人材だけでは難しいのでしょう。
留学するならアジア?それとも欧米?
ズバリ聞いてみました。「留学するなら、やっぱり欧米でしょうか?」「ご自身でアメリカに留学経験があり、シンガポール国立大学で教鞭を取っていてどう感じるかのでしょうか?」
「難しい質問ですが、同じことを学ぶなら欧米でしょう。でも、何を学ぶか以外に、誰と学ぶかも大切かと。将来、アジアを舞台に仕事をするならシンガポールがベストかもしれません。でもヨーロッパで働くならイギリスがいいですよね」
「あとは気質が合うかどうかも個人によるし、まずは本格的な留学の前に短期留学で、できれば欧米とアジアの両方で試してみるのが一番ですね。」
シンガポール国立大学を見学してみて…
現地の人と話をすること
今回の視察ツアーを通して感じたのは、「隣の芝生は青い」この一言に尽きます。いや、キチンと見もせずに「青い」と思い込んでいたのかもしれません。
先進的なイメージを抱いていたものの、日本とよく似た雰囲気が色濃くある国なのかもしれません。(これも限られた人から聞いた情報で、実際に住んでみるとまたイメージが変わるのでしょう。)
観光地を巡るだけでは見えないもの、分からないことを現地在住の方と話す中で感じることができました。
思えば学生時代、バイトして溜めたお金を全部吐き出して行ったインドでの楽しさは地の人との交流でした。現地の人と一緒に彼らが普段が食事をする屋台で食事をして…。
社会人になってから何度か行った旅行は完全に観光になっていましたね。
「何かに気づく」場
また、同行した中学2年生の長女からは以前から「いつか留学したい」という希望を聞いていました。留学にどんなイメージを抱いているのか、どんなことを学びたいのかという問いに対しては、「英語を話せるようになりたい」「留学したら英語を話せるようになる」という返答…。
しかし今回の視察ツアーのあとに同じ問いを繰り返すと、「日本の大学では学べない学問領域を勉強できるなら、留学する価値があるのかもしれない」との感想が返ってきました。この一言だけでも現地を見た甲斐があったのかなと親としては嬉しくなりました。(←親バカです、はい。)
少し前に、「田舎にいると教育の重要性を理解する機会がない。それに気づくことすらできない」という地域間での教育格差を訴える記事が話題になりました。
*「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由
そういう意味で、「海外では、語学だけでないプラスアルファの何かを学べる」ということに気づいたのだと思います。旅行に限らず、習い事や学校行事でも「自分の可能性に気づく」ことができる機会だと捉えられるようになることを願います。
もちろん未来アカデミーも生徒たちにとって、そういう場でありたいです。
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